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4日目 その1 ヒルトップまでの道のり〜ヒルトップまで

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  • ヒルトップまでの道のり
のんびりと草を食べている羊の姿はたくさん見かけるけれど、うさぎは姿を現してくれない。「うさぎはどこに行ったら会えるの?」とスティーブに聞いたら、「うさぎなんていたるところにいるさ。でも早起きしないと見れないよ。昼間は穴の中にもぐってるからね」と教えてくれた。

そこで今日は早起きしてうさぎを見るぞーと思ったけれど、朝食は8時からなので朝食を食べた後出発。



ボウネス桟橋のフェリー乗り場に向う道沿いのコテージにつけられていた「うさぎの飾り物」を発見!なんて幸先がいいんだろうと、ほくほくとフェリー乗り場に向った。


  ウィンダミア レイク・クルーズ(Windermere Lake Cruises)
  ボウネス桟橋(Bowness Pier)乗り場No.3 〜 フェリーハウス(Ferry House)
  4月7日〜10月28日まで毎日出航 1日往復1便ずつ
  ヒルトップ、ホークスヘッドに行かれる方は、こちらのフェリーを利用
  行き(フェリーハウスまで):10時出航 帰り(ボウネス桟橋まで):17時出航 大人片道 2.50ポンド
  フェリーハウスから徒歩でヒルトップまで2マイル (約3.2キロ)

フェリー乗り場には、ホテルから徒歩で10分ぐらい。
フェリー乗り場のお兄さんに、「ファーソーリー行きの切符ください」と伝えたら、「船は10時出港だよ。どこ行くの?」って聞かれた。
私が「テンオクロックー!!!」なんですと、1時間以上もここで待てってかー!「アンビリーバブル」って顔しながら「ヒルトップに行きたい」って伝えた。

お兄さんは笑みを浮かべながら、そんなに急いでるんだったら、カーフェリー利用するといいよと教えてくれた。そして「目の前の道路をまっすぐ行って、1キロ先を右に曲がるんだよ」と。
「Thank You!」と言って、目の前の道路を、1キロね。普段まったく歩かないので1キロって言われてもどれぐらいかかるのか想像できない私は、ここから1キロも歩くのかぁと思うと。。。(絶句)

  ボウネス桟橋のフェリー乗り場からカーフェリー乗り場までの行き方。。 地図参照
  赤矢印で記載しています。
  
しょうがない、歩きましょうってとぼとぼ歩き出した。
何分かかるんだろうって思いながら歩くこと5分、道路は道なりにカーブしていてどんどん湖から離れていき、遠回りするような感覚にとらわれる。
もしかして湖のそばの道を通った方が近道かもと、なんとか少しでも歩く距離を減らそうといけない考えがよぎる。
それがあとで大きな間違いになるとも知らずに、道路脇の駐車場の先にある細いわき道へと入っていった。

その細いわき道は、一見正解だったように感じた。
ウィンダミア湖の姿も近づいてきたし、このまままっすぐつっきれば、カーフェリー乗り場はすぐそこなんじゃないかなぁーなんて思いながら歩いていた。
が、突然目の前に門があって、「勝手に入ってもいいのかな」とか思いながらその門をくぐって先に進もうと思ったら、そこは誰かの家だった。
道を聞こうにもまわりには誰もいない。このまま進んでいいものかどうかちょっと悩んだけれど、他人の家の庭を勝手にうろうろして怒られたらまずいと思って引き返した。

また来た道を戻るのもしゃくなので、その前後にまっすぐ行ける道を探して、また歩いていったら今度はキャンピング場に着いてしまった。
キャンピング場から湖に抜ける道はないものかと思って探したけれど、見渡す限りキャンピングカーがずらりと並んでいてすごく広い。その先を歩いて行って もし間違えていたらまた引き返さなきゃ行けない。誰かに道を聞こうにも、朝早いからなのか、しーんと静まり返ったキャンピング場にはまだ誰も起きていない。

あーあどうしようと途方にくれて、リュックから地図を引っ張り出そうとリュックを下に降ろした瞬間だった。
「ガサッ」って草むらから音がして、うさぎがひょっこり現れた。「えっ、えー」もうびっくり。あわててカメラ、カメラとがさごそさせたらすっと草むらの中に隠れてしまった。
「あーん、待ってよぉー」って隠れた草むらの中をのぞこうと思った瞬間、車が一台やってきて、キャンピング場の反対側にある駐車場に止まった。
すごく広い駐車場で、まだ1台も車止まっていないのに、その車は何故か私のすぐそばに止めて、中から荷物をごそごそ出し始めた。

道を聞くなら今だ!今しかないってあわてて、「エクスキューズミィ」って、大声あげながら走った。
老夫婦は、道一本へだてた木陰の中から私が飛び出してきてびっくりしたような顔したけれど、親切に道を教えてくれた。

その時、あのうさぎが助けてくれたんだ。もしかしてあのうさぎはベンちゃんかもしれないってそう思った。私のこと心配で様子見に来てくれたのかなって。そんなことある訳ないけど、でも私はすごくうれしかった。
気を取り直して、教えてくれた道に戻ったら、なんてことはない先ほどフェリー乗り場のお兄さんが教えてくれた道に舞い戻った(^^;)
近道しようと思ったのが、かえって遠回りしただけに終わったみたい。トホホ。


(写真説明) ホークスヘッド、コニストンに行かれる方はカーフェリー乗り場へという標識が見えたら、その曲がり角を右へ曲がる

標識を右に曲がると木立の中からやがてマリーナが見えてきて、その先にようやくカーフェリー乗り場が見えてきた。ここまで徒歩30分。結局倍ぐらいの時間をかけてしまったらしい。
地図には点線で示しているフットパスがあるはずなんですが、フットパスと書かれた入口は閉鎖されて針金でドアが開かないようになっていた。フットパスはまだ完全に再開していないのかなぁ。


(写真説明) カーフェリー乗り場に続く道。やがて左手にマリーナが見え、その先がカーフェリー乗り場。

 
(写真説明) 左:カーフェリーの対岸は約2キロほど先。 水泳の得意の私なら泳いでも充分渡れる距離。
        右:約10分間隔ぐらいでやってくるカーフェリー。対岸に行って降ろして、また乗せてを繰り返す。写真に写っているのはこの後登場する親子連れ。お父さんが私に気さくに声をかけてくれた。


  ウィンダミア カーフェリー 40ペンス  運行時間(夏季): 6:50〜20:50(平日)

なんとかカーフェリー乗り場にたどりつき、船が到着するまでぼぉーっと座って待っていたら、たぶん英国紳士だと思うけれど、気さくに声をかけてくれたので、私も挨拶した。
相手は「やぁ!」だけのつもりだったかも知れないけれど、私は「ここまでボウネスから歩いてきたんだ。もうくたくたなの」って笑顔で返した。
そしたら、「ウィリー?」ってびっくりしてた。歩いてここまでやってくるなんて信じられないって顔してた。そうだよねー。観光客は朝はゆっくり寝て、10時のボウネスからのフェリーに乗ればいいんだものね。

やがてフェリーが近づいてきたので、笑顔で「じゃーね」ってその家族は車のところまで戻っていった。
カーフェリーは、甲板の上に車が7、8台乗るぐらいの大きさで、人はその脇の通路に乗船する。通路にはベンチがありそこに腰掛け、しばらくすると発車した。
対岸からやって来た車が降り、車が乗車するとすぐに発車するようだ。特に何分出発というのはなく、その繰り返しみたい。

車の料金徴収が終わったら、次に人の料金徴収にやってくる。首からバックぶら下げて、ひと昔前の車掌さんのような格好したおじさんが、「レディ」って声かけてくれた。20ペンス2枚渡したら、「パーフェクト。センキュー」って笑顔で答えてくれた。ほんとこういうのって気持ちいいよねぇ。疲れてたけど笑顔がこぼれる。

船が動き出したら対岸まではあっという間。涼んでいる暇もないぐらい。船が対岸に到着したら、そのまま勝手に降りれる。
歩くのはいよいよここからが本番。
ヒルトップまでは1時間の道のり。さっきは無駄足を踏んだので、さあ気合入れて歩かなくっちゃと思っていたら、先ほど声かけてくれた紳士が、「どこ行くの?」って声かけてくれた。
「ヒルトップです」と答えると、「僕達はホークスヘッドに行くけど、乗ってく?」って。
「ええーいいんですかぁ!」なんか申し訳ないやら、乗せてもらったりしてあつかましいかなとか思いつつ、こんなステキな出会いをくれたベンちゃんに感謝。だって迷わなければもうちょっと早く到着していたかもしれないものね。お月様にいるベンちゃんが私を見守ってくれているんだね。

紳士の車は、革張りシートの高級車で、もしかしてお金持ちなのかも。子供達は二人とも男の子で、金髪の栗毛 ブルーアイ、とってもかわいい。
車に乗って、お礼を言うと、「子供達にも挨拶してね」って。そこで「ハロ〜!お姉さんは、ピーターラビットが大好きなんだよ。これからピーターラビットに会いに行くの」って。
突然乗ってきた珍客に子供達はびっくりしたのか、おとなしい(^^;)

「進め、電波少年」というテレビ番組を見ていた時、ヒッチハイクで何故ドライバーは車に乗せてくれるかというのに、ドライバーが退屈しないよう話し相手が欲しいからというエピソードを覚えていたので、私は乗せていただいたお礼にと一生懸命おしゃべりした。
本物のうさぎに会ったこと。写真を撮ろうと思ったら逃げられちゃったことなど。その英語が自分では単語をつなげただけで文章になっていないと思ったけれど、相手には充分伝わったようで車の中は笑いにつつまれた。そして「君の英語はグットだよ」って言ってくれた。
「ベリーグッド」ではなかったけれど(^^;)、「グット」と誉められてご機嫌な私。(あとで思えばお世辞だったかもしれないけれどね)

「昨日は、ヒルトップ、ホークスヘッド、グラスミア、ケジィックを1日でまわったのよ」なんて話したら、「1日でそんなにまわったの?」ってびっくりしてた。
「僕たちはコニストン湖でのんびりフィッシングさ」て、ちょっぴり日焼けした顔が楽しかった様子を物語っていた。
「ヒルトップに行った後はどうするの」って聞かれたので、「バスでホークスヘッド、アンブルサイド、そしてボウネスに帰ります。もう歩きたくないよぉー」ってね。
車中でそんな楽しい会話をして10分も走っただろうか、あっという間にヒルトップに到着してしまった。
すごく名残りおしいけれど親子連れとはここでお別れ。
車が見えなくなるまで手を振って、さてと歩き出そうとしたらそこはもう「タワーバンクアームズ」だった。

結局道に迷った方が早くヒルトップに到着していたんだね。8時40分頃ホテルを出て、9時40分にヒルトップに到着。
カーフェリー到着地点から徒歩でヒルトップに向っていたら、きっとへろへろになりながら10時30分頃に到着してことになるのかな。
もちろん徒歩でヒルトップに行く楽しみもたくさんあるからそれもよかったに違いないと思うけど。うさぎにも会えたかもしれないしね。


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  • ヒルトップ
(一部 3日目と内容が重複します)

「ヒルトップ入場」

  入場料 4ポンド  ガイドブック 2.50ポンド(日本語版あり)

  月〜水曜、土・日曜 10.30-16.30(ラスト・エントランス。クローズは、17.00)
  木・金曜 クローズ (ショップと庭は11.00-16.00の間オープン)

(注意)定休日や営業時間は突然変更になったりしますので、旅行出発前にはあらかじめ最新情報をご確認の上、スケジュール考えてくださいね



入場チケットの販売はその時間により何名と入場が決められています。チケットにはエントリーした時間を記載。定員になると、入口にて入場制限されます。
おすすめはなんといっても朝一番のエントリー。各部屋ゆっくりと落ち着いて見ることができますし、ナショナルトラストの方もいろいろと親切に教えてくれるので、ポターの世界にまた一歩近づくことができます。

さらにもうひとつおすすめなことは、チケット売り場に売られている「ヒルトップのガイドブック」
このガイドブックには、ヒルトップに関することが詳細に記述されています。待ち時間があるならばその合間に読むこともできますし、またガイドブックを手に持って部屋を回られると、その部屋に展示されている作品のことがすべて網羅されいますので、2倍の楽しみがあります。
できるだけ手荷物を減らして、荷物が多い時は入口で荷物を預け、手にはガイドブックだけを持つようなつもりでお出かけください。

 
(写真説明) 左:通りに面したヒルトップの入口 建物正面左側がヒルトップへの入口
          右側が出口になり、その手前にヒルトップのナショナルトラストショップがある
        右:小さくヒルトップと書かれている看板

「ヒルトップ全景」

1905年、ビアトリクス・ポターが初めて手にした本の印税と叔母からの相続した遺産で購入し、1905年から1913年ポターが結婚するまで住んでいた家。この家を舞台にたくさんのお話が誕生した。
結婚後は、すぐ近くにあるキャスルコテージに移り住むものの、ヒルトップはポターの書斎兼客間として使われ、ポターのもっとも愛着のある家として、1943年ポターの死後、遺言により家、装飾品、家具すべてそのままに保存することを条件にナショナルトラストに寄付。

ナショナルトラストがポターの遺言を引き継いで守ってくれたおかげで、「こねこのトムのお話」「ひげのサムエルのお話」「あひるのジマイマのお話」「グロスターのお話」に登場する絵本のシーンや、「パイがふたつあったお話」「2ひきの悪いねずみのお話」に登場するアイテムを、お話が誕生してから100年たった現在でも絵本の世界そのままに楽しめることができる。

 
(写真説明) 左:ヒルトップの入口 ポターがこの入口の左側に寄りかかりこちらを向いて微笑んでいる写真はあまりにも有名。
        右:ヒルトップの入口を真正面より撮影

 

(写真説明) 左:タビタお母さんがトースターを焼くための道具を手に持ち入口から心配そうに子供達を見つめているシーンを思い出す。もちろんその頃ベンチはありませんでしたが。
        右:「こねこのトムのお話」より ビアトリクス・ポター(著) いしいももこ(訳) 福音館書店版

(実際の絵本のシーン。絵本をお持ちでない方のために画像掲載しましたが、このシーンを見ることで、お話が読みたいって思ってくれればうれしいです。)
「ヒルトップに続く小径」
 
(写真説明) 左:ヒルトップへ続く小径 この小径を実際に踏みしめることをどんなに楽しみにしていたことか。小径の余韻にもっとひたりたい方は、大きい写真サイズでどうぞ。

        右:ヒルトップ 日本語解説版の表紙より この表紙のイラストは、タビタお母さんがいたずらざかりの子供達を家に連れ戻すシーン。まったく同じ構図、小径の先にはヒルトップの入口が見える。写真の方が、庭園に咲く花の緑が少し多いことぐらいが違いかな。「こぶたのピグリンブランドのお話」にもこの小径は登場する

「ヒルトップ農園」

  
(写真説明) 左:ヒルトップ入口を背にし、向かい側を撮影 ここからジマイマの森へと続く
  真中:「あひるのジマイマのお話」より ビアトリクス・ポター(著) いしいももこ(訳) 福音館書店版
  右:お話とまったく同じシーン お庭に続く緑の鉄柵もそのまま残っている
         「BEATRIX POTER AND HILL TOP」日本語解説書より The National Trust

(実際の絵本のシーン。絵本をお持ちでない方のために画像掲載しましたが、このシーンを見ることで、お話が読みたいって思ってくれればうれしいです。)


ヒルトップの入口に背中を向け見渡すと、そこは小高い丘になっていて、この先ポターが眠っていると言われている「ジマイマの森」へと続く(実際の場所は不明)。その丘の手前に農園があって、緑の鉄柵で立ち入り禁止となっているが、その農園こはジマイマが登場することで有名。「卵をあちこちに隠したのにすぐに持っていかれて」とジマイマが怒っているシーン。イラストに一緒に描かれているのは、ヒルトップ農園を管理していたいたキャノン夫人とその子供。緑の鉄柵は今でもしっかりと残っている。

 
(写真説明)左:ヒルトップの正面を背にして、右脇にある建物は、ヒルトップ農園。
       右:ヒルトップガーデンの柵を越えた向こう側。大木の下にミトン?、それともモペット?もしかしてトム?「にゃーご」と猫語で話し掛けてみたが振り向いてはくれなかった。

ヒルトップの入口に背中を向け、今度はその右側を見ると、石造りの壁が見える(写真左)。この建物の奥にはヒルトップ農園があり、縁(フチ)が緑色になっている扉は固く閉ざされていた。
もちろんこの農園もナショナルトラストが管理下にあり、現在は借受人が農園を管理し、羊を飼っているとのこと。ナショナルトラストの張り紙を読むと、ヒルトップで飼われている羊達は口蹄疫にかかりやすい種類で、その予防策として今年7月初めまでヒルトップは閉鎖されていたのかもしれないと思った。

張り紙の内容
  警告 立入禁止
「この土地には、非常に感染率の高い口蹄疫に冒されやすい家畜がおります。当面歩道は通行禁止となっており、その使用は法律違反となります。口蹄疫感染防止にご協力よろしくお願いします。ありがとうございました」 ナショナルトラスト

農園の扉の脇には、古い井戸があるはずなんだけど、私はうっかり見逃してしまったので、「パイがふたつあった話」の最後にリビーがバケツにいっぱいの水をくみに行くシーンに登場する井戸をしっかり見て来てくださいね。

「ヒルトップ内部」
いよいよ、ヒルトップの中をご案内します。
ヒルトップ内はカメラ撮影禁止です。ヒルトップ内のポストカードを少し購入しましたので、そのポストカードをまじえながら感激の1時間あまりを紹介していきます。


「玄関広間」

入口を入るとすぐ受付のお姉さんが立っていて、靴にカバーをかけることを指示されます。この時の注意点は必ず玄関マットの上で靴にカバーをかけること。
次に待っている人のためにと道を譲る必要はありません。一人ずつ順番に靴にカバーをかけますので、玄関マットの上にて必ずカバーをかけてくださいね。
私はリュックサックを背負っていたのですが、リュックや大きなカバンは必ず手にかけるようにして持つようにといわれます。私は受付にリュックを預かってもらい、身軽になって見学しました。

ヒルトップ内部は、とても暗く、天井も低い。身長170cmの私が手を伸ばしたら天井に手がつきそうなぐらい。とってもこじんまりした小さな家なので、ひと部屋に見学者5人も入ればもういっぱいになりそうなそんな感じです。


 「BEATRIX POTER AND HILL TOP」日本語解説書より The National Trust

入口入ってすぐ左側には、あかり取り用の出窓、この出窓に絵本でお馴染みの花が植木鉢に植えてありました。花の名前をお聞きしたら「Geranium(ゼラニウム)」だそうです。
 (参照)「こねこのトムのお話」 タビタお母さんがお友達を出迎えるシーン

増築された部屋への入口につけられた見覚えあるノッカー。これはもしかしてと尋ねると、やはり絵本にしっかりと登場しているノッカーで、「コレクト」とおしゃってくださいました。絵本ではもっと大きなノッカーを想像していたのですが、絵本で見るより一回り小さかったです。(見た目の寸法ですが、縦3cmx横2cm)それにしても変な顔。魔よけの意味もこめられているのかな。
 (参照)「パイがふたつあったお話」 ダッチェスが花を抱えてリビーの家をノックする。そのドアについているノッカー

こねこのトムがママに見つからないようにと隠れ場所に選んだ暖炉。ポターは暖炉の中をのぞきこみながらスケッチしたのだろうか。暖炉の火が消えている時期といえば夏、短い夏にスケッチしたのかな。
 (参照)「ひげのサムエルのお話」 暖炉に隠れたために、すっかりねずみ嫌いになったトム。続きは絵本で。

暖炉の前にはポター愛用の靴。私の靴と大きさを比べてみたら、とっても小さい。小柄な女性なんだってことを改めて認識。暖炉の上には皮製のピーターの人形。ポターは本の版権だけでなく、その本に関するキャラクター製品についても興味を持ち、自ら商品開発を手がけたといいます。
この皮製ピーターも自作なのかもしれません。
その横には、木で作ったうさぎの人形。手と足と顔が胴体に一箇所だけで留められ、たぶん自由に動かせるようになっている。これはプレゼントされて、お気に入りなのかな。

暖炉の右脇のもうひとつのドアについているランニングピーター姿の「ウェルカムボード」。そこに刻まれた文字は、「Calendar for 1920」となっていた。これはきっと後からつけられたものに違いないけれど、手作りなのか、とってもステキな作品だった。


 「BEATRIX POTER AND HILL TOP」日本語解説書より The National Trust

食器棚というよりは、食器飾り用戸棚。その前を走り去るのはアナマイラ。サムエルやアナマイラみたいなこわいねずみが出る家に住みたくはないけれど、とても古い家だからもしかしたらね。
 (参照)「ひげのサムエルのお話」 アナマイラがねり粉を持って走りさるシーン

食器飾り用戸棚には、「母うさぎと5匹のベビーの絵柄の鍋敷き」と「ロップイヤーと5匹のベビー」の絵柄の鍋敷きが飾ってありました。この鍋敷きを見つめている内にピーターラビットのお話を思いついたなんてことは、私の勝手な想像です(^^;)

食器飾り用戸棚の横には、オーク材の柱時計。「Tow Barrow Stockport」という文字が。ガイドブックを読むと、1785年にStockportのThomas Barrowが作った作品となっていました。この柱時計の文字盤は
とても200年前のものとは思えない洗練されたおしゃれな作品でした。
 (参照)「グロスターの仕たて屋」

暖炉と反対側にある食器棚には、「うさぎ3匹」の絵皿、ろうそくが3本立てられる燭台、うさぎとかえるの置物。


「応接間」


ヒルトップショップ内で売られているポストカードより 0.35ポンド

玄関広間のとなりの部屋です。大理石の暖炉がひときわ目立つ存在で、先ほどの玄関広間とはガラリと雰囲気が変わります。
この暖炉の中の飾り部分にも、おもしろい顔をした小さな銅像のようなものが飾られています。あんまりおもしろい顔なのでこの顔をスケッチしたけれど、あまりに下手すぎておみせすることはできません(^^;)その銅像は左右にあって、それぞれ違う顔をしています。その間には、何故かまつぼっくり。意味があるのでしょうか。

この部屋は、先ほどの玄関広間とは違い、とても明るく感じました。ここでは主に仕事の打ち合わせをしていたのでしょう。打ち合わせが終わると、ポターお気に入りのティーポットでお茶を飲んだことでしょうね。

部屋の角に取り付けられている吊り飾り棚に、そんなお気に入りのティーポットが展示してあります。ポットの蓋が王冠になっていて、これはエドワード7世戴冠式を記念して作られたティーポット。
「パイがふたつあったお話」で、リビーとダッチェスがお茶する時に描かれているのがこのティーポット。今までこのティーポットを詳しくご覧になったことありましたか?
私はこの時初めて、絵本のイラストのティーポットの蓋が王冠のようになっていることに気づきました(^^;)
 (参照)「パイがふたつあったお話」

このポットの側面には、英国国旗、丸枠部分にエドワード7世、女王陛下のそれぞれのお姿がプリントされているポットです。このポットの実物をお見せすることができたらと思いますが、それはやはりヒルトップで見ていただくことが一番なのだと思います。

この時、このポットのことを教えてくださったナショナルトラストのお姉さんが、ダッチェスについて教えてくれました。黒い犬ダッチェスは、ポターの知人が飼っていた小型犬で実在したそうです。ポターが牧羊犬として飼っていたケップは、大型犬でとてもりこうな犬だったそうです。今でもその時の犬舎が農園に残っているそうです。


「階段」
階段にもカーペットが敷かれていました。この階段のカーペットは、「ひげのサムエルのお話」でタビタお母さんがトムを探しているシーンに登場しますね。同じ柄だったかどうかまで記憶していません。ちょっと違っていたような感じもしますが、カーペットは大勢の人が観光に訪れるヒルトップでは保存は難しいかもしれません。

階段の踊り場には大きな彫刻が飾れるほどスペースがあって、踊り場のあかり取りの窓は高さ180cmぐらいありました。この窓からジマイマの森へと続くヒルトップの風景が見渡せます。

階段をのぼりきると、ひげのサムエルがめん棒をころがしているシーンに出会います。このカーペットの模様はまったく同じだったように思います。


「寝室」

ヒルトップショップ内で売られているポストカードより 0.35ポンド

天蓋付きのベット、高さは180cmぐらい。ベットの長さは私が両手を広げたぐらいでしたので、約160cm。とても小さなベットに感じましたが、トムとモペットとミトンが遊ぶには充分すぎるぐらいの広さと高さですね。
 (参照)こねこのトムのお話

寝室にはガラスケースの中に19世紀のフランス人形が飾られていました。ガイドブックによるとこのうち2体は、「2ひきのわるいねずみのお話」に登場するジェインとルシンダのモデルと言われているそうです。

余談ですが、2001年のピーターラビット&フレンズの新製品で、フランス人形が発売されました。ピーターがどこに関係しているかというと、そのフランス人形が着ている洋服がピーター柄なんです。何故このような新製品が発売されるのかと思っていたのですが、もしかしたら「2ひきの悪いねずみのお話」に登場するジェインとルシンダがモデルなのかもしれませんね。


「トレジャールーム」

ヒルトップショップ内で売られているポストカードより 0.35ポンド

ポターの集めたコレクションを収納するお部屋。ひときわ小さなお部屋でしたが、コレクションルームには充分な広さでした。

絵皿のミニチュアコレクション
ウェッジウッドのジャスパー
ミニチュア人形
壁には、クロスステッチの壁掛け
貝殻の標本のようなもの(これもポターのコレクションなんだろか)

このお部屋の中では「2ひきのわるいねずみのお話」の人形の家に登場するミニチュアセット(ポストカード)に注目した。人形の家自体はポターのコレクションとして見当たらなかったけれど、絵本に登場するミニチュアのアイテムはすべてポターが収集したコレクションから描いたもの。
鳥かごに、作り物の食べ物、ゆりかご、フライパン、やかん、いす、植木鉢のお花までこれらみんなポターが集めたものだったのですね。


「居間」
このお部屋は大切なお客様を迎えるためのお部屋のような気がします。とってもシックな感じで、それでいてプライベートなお部屋。だから大切なお客様を迎えるのにふさわしいそんな気がして。

ポター自身のいろいろな写真もたくさん飾られていました。そしてオルガン「Cheapside,London」 おじいさんがこのオルガンは今でもひけるのかい?って質問していた。質問されたナショナルトラストの方はわからなかったみたいで、他の方に聞いていた。結局答えは聞けずじまいだったけれど、どうなのかな。

各部屋にはたくさんの水彩画や油絵の作品がありましたが、この部屋にはポター自身が描いた「Spring」という小さな絵が飾られている。春の庭を描いた作品で、壁の端っこにひっそりと飾られていた。

この部屋には、ポターの作品が商品となった初期頃の陶器が展示されている。
 ・1810年頃の人形用のティーセット
 ・ウェッジウッドバーラストン工場のティーセットシリーズ(19世紀初期のPratt焼きとして知られているそうです)

この部屋の窓際に目を移すと、出窓になったこの部屋は、「こねこのトムのお話」で子供達が服を着替えるシーンに登場する場所だ。絵本とはたんすの位置が少し違うようだが、そのたんすは絵本の中に登場しているし、たんすの上に乗っている鏡台もしっかりそのまま。
ミトンとモペットがちょこんとおすわりしていた出窓には、木枠のしっかりしたものが置いてあった。何をするものかさっぱり想像できなかったけれど、これは押し花を作る台らしい。


「ニュールーム」
最後に落ち着いたいかにも集中できそうなお部屋があり、この部屋は1906年増築された部屋で、ポターが書き物をするために使われた部屋だそうです。

机には斜めになった台がついていて、アーチストが好んで使うような机だなぁーと思いました。

この部屋にはひときわ大きな風景画が展示されていて、作品にゆきづまった時、目が疲れた時に、眺めていたのかもしれないと思いながら、じっくりと眺めてきました。


「煙突」

ヒルトップショップ内で売られているポストカードより 0.20ポンド


ジマイマの森に続く丘の上から撮影されたであろうヒルトップの全景です。
ヒルトップの屋根の上にある煙突に注目してください。そうこの煙突は、「ひげのサムエルのお話」に登場する煙突です。

絵本には「旧式の煙突で屋根から突き出ているところは、まるで、小さな石の塔のようです。雨よけにつけてある ななめのスレートの間から〜」
 「ひげのサムエルのお話」より ビアトリクス・ポター(著) いしいももこ(訳) 福音館書店

雨よけのスレートがついたまったく絵本とおりの煙突ですね。


これでヒルトップの内部の紹介は終わりです。
これからビアトリクス・ポターのお話を読むとき、イラストに注目しながら読んでみると、ヒルトップに来た時、感動が2倍、3倍にもなるようなそんな気がします。

「ヒルトップ庭園」
ポターが自ら設計、施工したという庭園では、花が咲き始める春から夏の終わりにかけて、必ずどこかで花が咲いているようにと工夫されている。
ポターが生きていた頃は、ツツジ、フロックス、バラ、ユキノシタ、タチアオイ、ユリ、ヒカゲユキノシタ、岩生植物、果樹などが植わっていた。
季節によって様変わりする花々を、当時の品種のままに今に伝えてくれています。
小径を散策している気分でお楽しみください。

  
 (写真左) アスチルベ(桃色)           (写真右)?
  
 (写真左)赤紫のスイトピー             (写真右) ピンクのミニバラ
  
 (写真左) これから満開を迎えるジギタリス(黄色) (写真右)ヤマブキにも似ているような

「木戸」

 
(写真説明) 左:「こねこのトムのお話」に登場する木戸 ヒルトップ内から撮影
        右:ヒルットプの外から撮影

私が撮影した角度が悪かったようで、トム、ミトン、モペットが座った石垣の塀は上手に撮影できなかった。まわりの木々が塀をおおいつくしていて、もしかしてこの木戸はお話に登場する木戸じゃないかもしれないと思ったほど。真新しい真っ白なペンキで塗られていたからなおのことそう感じました。
でもこの白い柵はまさしく「こねこのトムのお話」に登場する柵。塀の下をパドルダック親子が1列でやってくるといいのだけれど。やってくるのは時折走る車のみ。


最後にビアトリクス・ポターの魂が宿るヒルトップの家を永遠に保存してもらうために、私達ができることを考える、訪問を機会にそんな風に思ってもらえるとうれしいです。
当たり前なんだけど、とっても大切なこと
ポターの遺言通りにヒルトップを守りつづけてくださっているナショナルトラストの方のおしゃることはすべてポターの意思なんだと思い、従ってくださいね。
大切な展示物には触れない、リュックや大きなかばんはできるだけ持ち込まない、または手からぶら下げ遺品に当たらないように注意を払う、写真撮影しない、大声で騒がない、入口のマットの上で靴にカバーをかける、階段はゆっくりと登る、観光客ひとり、ひとりのモラルが今後も多くの人達に見てもらえることにつながると思うんです。
日本人のマナーは、世界でNo.1と思ってもらえるようにしたいですね。

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