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「うさぎの不正咬合について」
我が家のうさぎが不正咬合になり、毎週の歯のカットから、抜歯手術を受け、その後の様子などをまとめたページです。
<不正咬合について>
<治療その1 ニッパーを使って歯のカット>
<治療その2 機械を使用しての歯のカット>
<抜歯手術>
<その後の様子>




<不正咬合について>
 

  • どんな病気?
    うさぎやチンチラ、モルモットなどげっ歯類は、すべての歯が生涯伸び続ける常生歯で、上の歯と、下の歯のこすり合わせを頻繁におこなうことにより、歯が磨耗し正常な長さに保たれている。
    上の歯と下の歯がなんらかの原因で噛み合わなくなってしまった時、「不正咬合」という大変やっかいな病気になってしまう。
    写真)上の前歯は口腔内(口の中)口内でうちまきに、下の歯が外に飛び出すように生えるようになった
       生後5ヶ月で発病、矯正の知識もなく、ニッパーでの治療
  • 前歯と奥歯はどうなってるの?(専門用語:門歯(前歯)、臼歯(奥歯))
    うさぎの歯は全部で28本あるそうですが、そのすべての歯が一生伸び続ける常生歯。
    前歯は全部で6本
    奥歯は残り22本
    前歯で固いもの、長い草をかじりとり、奥歯の上下の歯を側方に動かすことで植物の繊維をすりつぶし、消化・吸収する。

  • 前歯の不正咬合
    前歯の場合は目に見える歯のため、比較的不正咬合を発見しやすい。
    歯が伸びるにつれ、だんだんと餌が食べにくくなり、舌も出しづらいことから、毛づくろいが下手になる。
    また、餌を目前にしてなかなか口にすることができないため、唾液も多くなり、あごの下が唾液で濡れる、前足の内側が唾液でべとべとになるなどの行為がみられる。

  • 奥歯の不正咬合
    奥歯の場合は目視で見つけることは難しい。
    検査方法は、奥歯検査用のスコープ(耳鏡)を使って検診してもらうと比較的発見されやすい。
    ・最近餌の食べる量が減り体重が軽くなった
    ・唾液で前足とあごの下の毛がよれよれしている
    ・あごの下をさわると痛がり(嫌がる)触られるのを拒否する
    ・緊急事態:目の下が異常に腫れる、もしくは目が飛び出してくる、あごの下が異常に腫れる
    これらの症状があれば、念のためでも奥歯の検診をしてもらうことをお勧めします。
    写真)唾液でベタベタになり、毛がよれて、しまいに毛が固まってしまう場所

  • お尻の汚れ
    不正咬合でまったく噛み合わない前歯は、伸び続けることで定期的にカットしなければ口を開くさえ不可能となっていく。
    そのため、お尻に直接口をつけておこなう糞を食べる行為(食糞)もできず、お尻の肛門まわりが盲腸糞でベタベタとなり汚れていく。
    不正咬合のうさぎは、定期的な歯のチェックはもちろんのこと、よだれで



  • 矯正について
    不正咬合はうさぎが生きている間永遠に治らない病気です
    でも1歳までのうさぎならば、「矯正」という方法で治せる可能性があるそうです
    我が家ではその知識もなく「矯正」できることを知ったのは、1歳半ごろでしたでしょうか
    病気は早期発見とよく言いますが、不正咬合も早期発見が治る近道です
    日々の行動のチェック項目に歯の状態も必ず見てあげるようにしてくださいね
    「矯正」については、経験していないのでどのように治療するのかわかりません
    もし経験したうさちゃんがいるのならば体験談をお聞かせいただけませんでしょうか。


  <治療その1 ニッパーを使って歯のカット>
  
  • ニッパーの治療方法
    うさぎの首の後ろをつかみ、仰向けに寝かせるように持ち、ニッパーを使用してすばやく歯のカット その際、うさぎには麻酔などの処置はしない
    うさぎが足をばたつかせるなどの行為のある場合は、一旦作業を中断し、持ち替えてあらためてカットする
  • 何故ニッパーの治療がいけないのか
    1. 切断時に、歯冠に過剰な力がかかり、根突の歯を形成している組織や歯根膜を損傷するので、その後の歯の成長に影響をおよぼす。頻繁に繰り返すと門歯が捻転し、不正がより激しくなる
      (捻転)ねじれて向きがかわること

      (写真は階段から落ちた時に突き出ていた歯を床にぶつけ、ねじれてしまった歯)

    2. 歯髄が露出して出血がなくても疼痛を伴う処置であること

    3. 切断後の歯の形態は自然のチゼル状の形態にはならない

    4. 時折、縁下部まで歯が縦に割れたり、歯髄が露出することもある

      (写真は階段から落ちた時に突き出ていた歯を床にぶつけ、縁下部ぎりぎりまで縦割れしてしまった歯)
    もちろんニッパーでの歯をカットするのに伴い、将来歯が弱くなる旨の説明を受け、飼い主も納得した上でこちらからお願いした治療方法です。99年8月から約1年半、週に1回ペースでカットしていただていました。
    (1回 1、500円)
    毎回麻酔をかけて機械を使って歯をカットするより、短時間で麻酔もかけずに治療していただけるこの治療方法がうさぎにとって負担が少ないとその当時は認識していました。


  • きちんとした歯の形態で正確に切断するために用いる方法として、「マイクロエンジン」などの切削機を用い、歯科用の高速タービンを使って切断するのが、歯にかかる負担が少ないとのこと。
  • 歯科用タービンを使ってカットした歯


    カットした歯の形態がニッパーで切断した時とあきらかに相違する。
  歯をカットするまでの手順
  1. 歯のカットする前に特に餌をあげてはいけないなど特になにもなく、いつもと同じように餌をあげてもいいとの指示の元、病院に連れて行く

  2. 吸入麻酔をかける。麻酔には最善の注意を払い、麻酔にかかりにくい子などその場合に応じて処置する万全の対策をとってくださるとのこと。幸いぐぅは麻酔をかけることに特に問題はなかった

  3. 歯科用タービンを用いて歯のカットが始まる。処置室に入って約5分後に「ウィーン、ウィーン」という歯医者さんでおなじみのあの嫌な音が聞こえてくる。

  4. 音が止み、10分も経たぬ内に先生が終わりましたよとおしゃってくださった。麻酔から覚めるにはもう少し時間がかかりますが、完全にさめるまでもう少しお待ちくださいと言われる。その間に今回行った処置について再度説明があった

  5. 歯髄が露出しないぎりぎりまでカットし、歯の中心にあいてしまう穴をふさぐために詰め物をしたことなど、図解の本を見せていただきながら説明を受ける

  6. 説明を受けている間に、ぐぅちゃんが処置室から戻ってきた。おっかなびっくりしたような顔をしていたが元気そうな様子に一安心する。


  • 治療代
    吸入麻酔料 2、000円
    過長歯切断処置・門歯 1、200円
    計 3,360円(消費税込み)
  • 歯をカットするために、毎回麻酔をかけなければいけない不安はありましたが、切除した歯の形態を見る限り機械を使ってカットする方法はうさぎにもいいように感じました。
    ぐぅも何もわからないまま歯をカットされたので、多少違和感はあるようでしたが、特に歯を気にする様子もなかったです。
    今後の歯の治療方法は、機械を使った方法を3週間に一度のペースで行い、いずれ「抜歯」を含めて検討しましょうということになった。
    「げっ歯類とウサギの臨床歯科学」の著書でもある歯の専門医師 奥田綾子先生に診察していただけることにもなった。


  <抜歯手術>

  • 歯の専門医師に診ていただけることになり、前回の歯のカットからちょうど1ヶ月経過していたのですが、伸びすぎで口も閉まらない状態のぐぅを診ていただきました。
     

    歯の形態はきれいでも、ここまで伸びた歯はさすがにすごい。
    餌を口にする時に横から入れてあげないと口に入れることもできず、食糞も歯が邪魔で思うように口に入らないのでお尻は汚れる一方。

  • 先生は、カルテを見ながら、糞の状態、餌の種類など質問されました。
    次に、奥歯の状態をチェック。モニターに写し出してくれて、奥歯の第一臼歯にも不正咬合があるという診断結果。
    不正咬合の治療方法について先生より「矯正」の可能性もあったけれど、「矯正」は2歳半のぐぅには無理。「抜歯」については抵抗がありますか?と質問され、以前から抜歯ができるのならお願いしたいと考えていた旨をお話し、抜歯手術をしていただくことになった。

  抜歯手術
  1. まったく機能していない門歯の6本すべてを一度に抜く手術ですが、技術と設備が充分整っていれば30分ぐらいで抜くことができること、そして奥歯の臼歯のトリミングもあわせて行う旨の説明を受け、うさぎなどのげっ歯目は唇や舌などで食べ物をよく捕らえることができるので、食べ物の形状に気をつける「野菜は細かく刻むこと」「中には食べれなく子などもいるその場合は」など注意すべき点を教えていただく

  2. 処置室に運ばれ、麻酔をかけいよいよ抜歯手術が始まる

  3. 待合室で出産を待つお父さんのように、ウロウロしながら時計とにらめっこをしながら、ひたすら手術の無事を祈る。
    その頃手術室では、歯科用レントゲンで歯の根元(根尖)が石灰火して骨性癒着を起こしていないかなどの検査を済ませ、心電図、パルスオキシメーターモニターなどの遠隔監視の元、専門医、獣医師3名、その他にもスタッフなどに囲まれ手術は行われていたようです。

  4. 約50分ほどかかってから診察室に呼ばれて、出てきたぐぅちゃんは、口のまわりは血だらけで、なんとも痛々しかったです。でも手術は無事成功し、抜けた6本の歯を見せていただきました。

    上の4本が上の前歯(門歯)、下の2本が下の前歯(門歯)

  5. その後抗生物質と胃腸の働きをよくするお薬をもらいました。

  • 治療代は、すべての処置、お薬代込みで 42、290円

  <その後の様子>
  • 手術当日
    手術が終わってさすがにぐったり疲れきった様子。部屋をあたため、巣箱にヒーターをセットし、とにかくそっと見守るぐらいしかできません。
    手術中さかさまになっていたせいか、目の周りが涙目でぐちょぐちょになっています。
    食事は、ほとんど食べませんでしたが、大好きな乾燥にんじんを置いたら、これだけには反応してすぐ食べていました。
     


  • 手術2日目
    すっかり元気になり、牧草も野菜も普段通りに食べれるようになった。もとから前歯はまったく役に立っていなかったので、前歯がなくなっても特に不自由はしていないようだ。
    涙で濡れた頬の毛がまだ少し乾かないが、回復力の早さに驚く。ベンジャミンパパとは大違い。


  • 手術2週間後
    邪魔な歯がなくなり、熱心に毛づくろいするようになる。おかげで毛並みがすごくよくなった。
    以前にもまして牧草をたくさん食べるようになり、寝る前に山盛りにしていた牧草が、朝にはからっぽになる日もあるぐらい。
    抜歯後の口元。口内の腫れがひき、穴を縫った糸が見えるぐらい。この糸は自然に溶けてなくなるそうです。
     

    大好きな野菜も以前はこんなに口に入らなかったのに、入ること、入ること。食欲全開で50グラムも太っちゃいました。(^^;)どうしましょう。



  • 抜歯後の口元の変化
    抜歯前の口元から、抜歯後1ヶ月、抜歯後4ヶ月たった口元の様子をご覧ください。

    抜歯前
    歯が飛び出てくると同時によだれがひどくなってきます。
    抜歯1ヶ月後
    抜歯後に歯肉部分を縫合したのですが、
    その糸は1ヶ月たってもまだ残っていました。
    抜歯4ヶ月後
    前歯の脇にある歯肉がプリプリ健康そうなのが
    おわかりいただけますでしょうか?
    歯肉のちょうどまん中くぼんでいる部分が前歯が生えていた場所です。

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